2017年08月29日

ミヤタリッジランナー DISCブレーキ台座取り付け

またまた、ディスクブレーキ台座の取り付けをご依頼頂きました。

ミヤタ リッジランナー。
このモデルにはこの改造は結構やらせて頂きました。

今回のリッジランナーは前三角カーボン。
後はクロモリというタイプ。

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台座とブリッジ。
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左ステーに台座を取り付けるときに、
取り付けに邪魔になるダボ穴を一旦取り外し、
邪魔にならないところに付け替えました。

キャリアなど取り付けるときに、
左右穴がずれていると、面倒なので、右エンドにも左に合う位置に、
もう一個プラス。

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それと、ブレーキホース受けも。
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と、ド定番カスタム完了~~




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2017年08月28日

持ちこみパーツも、当然しっかり

出来上がったフレームにパーツを組み付け、車体に。

当たり前ですが正確に、丁寧に組上げます。

それなりに高価なオーダーフレーム。
わざわざ注文くださるお客さんは趣味的自転車の所有が2台目以降のかたも多く、
手持ちのパーツ、古いパーツをお持ちこみになられる方も。

当然、よほどいい加減な物以外、歓迎です。

今回のもペダルのベアリングのガタとグリスが多少切れ気味。
ユーズドの三ヶ島ペダル。しっかり当たりを出します。
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アンブロシオ、26インチのチューブラリムに、シングルハブで組まれたホイールも。
驚くことにホイール組み初心者の乗り手が、自分で組み付けたとのこと。
いいですね~。
手組ホイールは自分で組めるようになると面白いですよ。趣味として。
パーツ選定、スポークの組み方、テンション。
色々と細かい特性の差を自分で触って、いじって体感できます。

とはいえ、
こちらでも問題ないか確認します。
かっちり組んでいますね。
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チューブラのリムとタイヤにセメントで下地を作っています。

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わっしは、フレーム屋以前に自転車屋でございます!
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2017年08月27日

火が入った!Wトーチ

火が入った!さらに。

これで、誰かに手伝ってもらって、生産能力アップ。

または、パイプの差し替えが楽になる。

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例えばラグフレームのどこかのパイプが破損した。

パイプを差し替えるときにラグに流し込まれているロウを溶かして、引っこ抜くんだけど、
全体的に暖め、ロウが全部液体になったところを引っこ抜く。

全部、液体になってない状態で、さらに局所的にラグの温度が上がっているときに
無理に引き抜こうとすると、ラグが壊れるときがあるので、
トーチが二本あるとあっちとこっちから全体的に暖めるのが楽だ。

そういうご依頼が多いので、もうひとつ導入した次第。

あとは同時にもうひとり火を扱える人間が来ても良いように、
また生産能力アップに。

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ちなみに、工房内環境をアップするために、
アンプとスピーカーを買った。

ハイファイ系オーディオのエントリークラス。
ONKYOのもの、ヤフオクでアンプ¥1000、スピーカー¥700だった。
とても安い。BGMで使うには十分だ。

家電屋にいくと、ハイレゾ系オーディオ機器が台頭してる。
いる?ハイレゾ。




2017年08月19日

復活!ネオコット。

ご購入されてから、
何回目かのライド。

運が悪いとしか言いようが無い。
たまにこういう流れに巻き込まれることがありますが、

下りの50キロ以上でている状況で後輪に何かが絡まったようで、
シートステーがひしゃげてしまったようです。

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写真だとわかりづらいが、
左のシートステーが左下方向に曲がっている。
後輪に絡んだ棒状のものがステーに激突して破損したようだ。

しかし、後輪にロックがかかって落車、なんてことにならずに本当によかった。
カーブでスリップして落ちるよりも、
車輪ロックのような落車のほうが大きな事故につながりやすい。
しかも下りの50キロ以上なんて、落車というか大クラッシュだ。


その曲がったステーを差し替えて欲しいとのご依頼で持ち込んで頂いた。
ちなみにメーカーてこれ修理してくれるのかな?


元のパイプと手持ちのTANGEのパイプは
径やテーパー具合、何かと元の物とは違うので、
バランスが悪くなることを嫌って、
何ともない右側のステーも交換します。


ぽろっと取っちゃいます。
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新しく入れるTANGEのステー。
ほどほどに固く、使いやすいステーです。
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ステーの取り付け方は、集合ステー。
左右ステーの真ん中に割りが入るので、ステーを縦長形状につぶしてロウ付けします。

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ざぐりオッケー!
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ジグにかけ、さっとロウを回します。

トップチューブ後方には大事なメッセージの入ったロゴが、
クリア塗装下に塗り込まれており、それを痛めないよう、
濡れタオルで保護して、その部分が火で駄目にならないよう慎重に。。

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あとはブレーキブリッジを付けて、汚いところを綺麗にして仕上げるのみ!

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ステー入れ替えに加え、塗装も。

部分塗装で、例えば元の色と同じような調色もすることは可能だが、
あくまで同じような、で
後から塗った感は多少なりでるので、
それであれば違う色でぼかし。

はじめからそのような塗装デザインであったかのような、
違和感ナシです。

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塗装地のパールホワイトと近似色のロゴなので、写真ではわからないですが、
大切なロゴも無事です。

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比較的修理が容易なスチールフレーム。

補修が聴く場合は多いので、
些細なことでも、遠慮無くご相談頂ければ、幸いですW(`0`)W



2017年08月17日

トーエイ レストア

なんでも、若い頃の思い出がたくさん詰まっているという、トーエイの車体。
家の裏の物置に、可哀想な状態で放り置かれていたという。


これを新しい形に蘇らせたいとのご依頼で、お持ちこみ頂いた。


塗装やメカニック的な仕事は狸サイクルのこちらこちらでご覧頂けます。

フレームにも細工が必要だったのと、新たに専用ラックを作る必要があったので、
当ブログでは、そちら側をご紹介したいと思います。

狸サイクルのブログに写真が掲載されているが、
長年の埃、塗装の経年変化で、メカも全ばらしが必要な感じ。

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フレーム工作、ラック作成についてのオーダーの内容は
大まかにこんなところ。

1、Rブレーキワイヤをトップチューブに内装して欲しい。
2、変速Wレバー、ダウンチューブに手を伸ばす姿勢がキツくなったので、トップチューブに付けて欲しい。
3、それに伴うシフトワイヤルーチンを変更して欲しい。
4、所持しているノートPCケースぴったりのリアラックが欲しい。

と、こんな感じ。

まずは、ダウンチューブのWレバー台座や要らない小物を取り外し、
ご指定のトップチューブへの移植。
加えてアウター受け類も必要な物を所定の場所へ取り付けます。

しかしユーレーのWレバー台座。。
フランスネジの規格で、M5のネジなんだけど特殊ピッチ。
タップが手に入らないから、なんかあったら困る。

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トップチューブにワイヤルーチンが集約するので、すっきり見えますね。


Fメカを引くワイヤもトップチューブを這う。
持ち込まれたのはまたまたビンテージのユーレー。
これはワイヤ下引き用。

上からのワイヤを下から引くように変換しなくてはいけない。

ということで、ミスミで使えそうなプーリーを見つけたので、こいつを使うことにした。

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旋盤で変換プーリーの台座を削り出し、、
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出来上がった台座と、こいつをフレームにつけます。

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一応、薄い部分なので、補強板をロウで張ってから穴開け。
台座をロウ付けします。

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つきました。これで下から引けるぜ。

ちなみに、ユーレーのFメカ。
いや、ユーレーに限らず、ベストなワイヤ引き角度というのがあるはずで、
シートチューブに対してプーリー(台座)を90度に付けるのでは、うまくいかず、
プーリーを丁度良い角度で台座ロウ付けするのに、結構苦労した。

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次は、リアラック。
このPCケースが実際に使用したい現物。

ぴったりに作るので、上から固定ゴムなど回さずとも、並の振動では落ちることは無いでしょう。

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メッキ処理後。
光ってます。
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あとは、フロントのライトのステー。
8mmのパイプの先っちょを、万力でぐっと潰し、
穴をあけ、M6のボルトをくっつけただけ。

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と、ここまでが、私の仕事。
後は、塗装して組み付け。

こういった車体は組み付け方にも様式美があるので、それを知っていること。
また、古いメカの知識。
ライトなんかもダイナモ+有線なので、電装の技。

それらの経験・技がこういう車体を組み付けるメカニックには求められる。
普通の車体の3倍くらいの時間が組み付けに掛かる、結構大変だ。


バーテープはまだだけど、組み付け完了後。
喜んでいただけるはず。

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若いころにサイクリング用高級車を買って、
当時は積極的に乗っていたが、
仕事に家庭と忙しく、物置の肥やしとなっている車体。

今、それを開けてみると、いろいろヘタリがきていてそのままでは乗れない。
それに当時みたいな乗り方はしないし、、

程度の差はあれ、どんな自転車でもレストアやオーバーホール、
手を入れることで復活する場合もあるし、
今のご自身の乗りたい乗り方へは、パーツや仕様を変更することで、生まれ変わることもあります。

それがクロモリフレームの場合、フレームそのものに、
こうした改造が比較的容易にできるので、(それでも大工事ですが)
それが持っている可能性やポテンシャルは大きいはず。

物置のほこりをかぶった自転車をみて、
再び扉を閉じる前に、このような選択もあることを、ひとつ思い出してもらえれば、幸いでございます(-∀-)













2017年08月09日

HG JAGER 制作記 ~ フォーク編

前回に引き続き、HG JAGERの制作の模様。

フレームは出来上がったので、最後にフロントフォークだ。

ここまで、けっこう専門的な内容で
記事を書いてきたが、
制作そのものに興味がある方でないと、読むのはしんどいと思うが、
逆に興味がある方にはある程度参考になれば、と思いながら書きます。

(使用する材料)
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使用する材料。
コラムとフォーク足、あとはエンド。

コラムはテーパード。
もちろんクロモリ。
多分、超がっちりとしたヘッド周りになるんだと思う。

パイプの選定は一点もののフレーム設計の際は毎回悩むが、
大事にしていることは、バランス。

例えば、カイセイ022のオーバーサイズのがっちりしたパイプで前三角を作って、
後ろ三角はコロンバススピリットの軽量管で作ったら、
乗った感覚は、前と後ろでちぐはぐになって、気持ち悪い感じになるだろう。

今回のフレームは大径なものの軽量管を使っているので、
その辺りどうなるか。
できたものを乗りこなしてみないとその辺りはわからない。

フォーク足もディスクブレーキ用のがっちりしたもので、
エンドは15㎜Eスルー。

今回の乗り手のスタイルからも、
このあたりはオーバースペックではないはず。


(火曲げの準備、パイプに蓋をする)
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フォーク足の形状は、ベンド。
カーブや、凹凸面での追従性はストレートより、ベンドフォークの方が、
絶対にいい、と思っている。


普通、フォーク足を曲げるときには、
火曲げなんて方法はとらずに、ベンダーで曲げるが、
今回はフォーク足がごつくて曲げられないので、火で曲げる。


(曲がった足)
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きれいに曲がった。

フォークオフセットを考慮しつつ、
曲げのフォルムも美しく、、真ん中あたりから曲げはじめ
先にかけてアールを徐々にきつくぐ~~っと。


(エンドをセットする)
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治具上で、この曲げ具合で、
ちゃんと狙ったオフセットが出るか確認しつつ、
良ければロウ接してしまう。


(エンドをつけたフォーク足)
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今回のフォークの肩下寸法は435㎜。

実は今回のフォーク足。
シクロクロス用に使われる想定の材料。
一般的なシクロクロスフォークの肩下寸法は390㎜程度で
この材料は少し短く、曲げ加工をしたら短くなった。

なのでエンドとは反対の肩側は、同じ材料の端材を継ぎ足す。


(端材部分)
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本体と継ぎ足す端材。
これまた適当な端材を中継ぎとして中に挿入。

ロウがきちっと入っているか目視するために、
ドリルで窓を開けておく。

継ぎ目からロウを流し込んでいく。


(コラムと足をつなぐ部分)
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次にコラムと、足をつなぐいでフォークの形にしていく。

つなぐ材料は1インチ径の1.0mm厚。

ちなみにこのクロモリ材料。
自転車フレーム専用品として売られているものではないが、
こういった強度と軽さが求められる部位でよく使う。

例えばステムの突き出し部分など。

ちなみにDIY大国のアメリカ。
こういった材料は割とよく手に入る。
日本では割と苦労する。

逆につい数十年前まで日本で盛んだった製造・加工業。
それらが残した小型の汎用機械類。

アメリカでは球数が少なく手に入れるのが難しいらしい。
多分、中古機械屋に行っても大きなものしかないんだろう。


(フライスでカット)
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適当な角度でカットして、フォーク足につける。

コラム側もカットするが、
径の合う大きなホールソーがなかったので、
パイプとパイプを合わせ、
どこを切削すればいいのか確認しながら、
グラインダーとサンダー、そしてやすりで手加工していく。
慣れないと、そして丁寧にやろうとするとすごく時間のかかる作業になる

この突き合わせの加工。
基本的にフライスで行っているが、
道具が足りない場合、使えない場合はこのように手加工になる。

そのような場合に手早く作業するのに
こういう手技の習練が必要になるが、フレームを作るならこれは覚えておいた方がいい。

(カット前)
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また、あたりがちな場所。
ディスクローターとフォーク足。

よくロードバイク用のフォークにディスクブレーキ台座をつけてほしいとのご依頼を頂くが、
ロード用のフォークは肩幅が狭いので、
ここのクリアランス確保のために、
エンド内側にワッシャーをはさんだり、
足に逃がし加工を施したりする。

(ディスクローターとフォーク足のクリアランスの確認)
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(改めてジグにセット)
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(本付け後)
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本付けができた。

設計において、フォークとフレームのヘッド角の関係性は非常に大事なポイントで、
ここが適切でないと、他の要所が良くても、台無しになる。
全然走らない車体になる。

出回っている吊るしのフレームセットの中には、
この関係性がダメなものがたくさんある。
逆にフォークさえ良ければ、
まともになるのになぁ、なんてものもたくさんあるわけで、
こうして、テーパードコラムが手に入って、その手のフォークも作れるってことは、
今時のフレームにもそういった改善が出来るってことで、、


(ディスクブレーキ台座の取り付け)
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(取り付け後)
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ブレーキ台座の取り付けが完了。


先にも述べたが、
今回のフォーク足。
ディスクブレーキ用のごついもの。

ディスクブレーキ用といっても
通常のディスクブレーキでないロードやツーリング車にももちろん使える。



先日、ライトツーリング車の製作の相談を受けた際、
後ろには荷物を積まないが、フロントフォークにサイドバックとして5~6キロの荷物を
両サイドにくくりつけた状態で数日のツーリングをしたいとのこと。

その分載・重量設定なら、
パイプ選定はカイセイ022とかタンゲチャンピオンNo.2とかで過不足ないが、
フォークの足だけこういった頑丈なものをつけたら、
走りはよれずに、良いかもね。なんて話をした。

パイプの選定はやろうと思えば、
バリエーションはかなり作れるし、その辺りが面白くも難しくもある。


今度、機会をみて、
うちで取り扱いのある材料を中心にわかりやすく、紹介させてもらおうと思う。

(写真はTANGEのカタログの一部)
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あとは、小物を付けていく。

今回の場合、フレームにはボトルケージは付けない。
フレームバックをほぼ必ずつける、
それから自転車を担ぐときにケージを取り付けるボス穴が、
肩の骨などに当たってしまい、痛いからだ。

ということで、
水分補給は基本的に、背中のハイドレーションからとる、
また無い場合には止まって補給するので、
フロントフォークの足にボトルケージのボス穴を取り付ける。

(適当な位置に6.5mmの穴を設ける)
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ボス小物を穴に挿入し、ロウ付け。
ホースの受けも。

(ほぼ取り付ける物は全てつけた)
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これでほぼ全て小物の取り付けは済んだ。

あと今回は補強ブリッジを入れる。
あまりこういうブリッジの入れ方はしないが、
乗り手の好みが、なるべくフォーク剛性は高めにということなので入れてみる。


(仮付けされたブリッジ)
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(フォークの完成)
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あとは下地処理→塗装となるが、
ここからは私の手を離れるので、工程は記載しない。


3回に渡って、一つのフレームを企画設計から、実際の工程を記したが、
製造そのものに興味がある方には、
少しでも参考になったのではないだろうか。

また、フレームの制作方法や、細かい手業、それから道具やジグ。
ビルダーによって全然変わるし、常に試行錯誤。

70歳を超える大師匠は、
「(ビルダー業において)俺は未だに進化しているよ!」とのことでした。。

これを見て、ビルダーやってみよ~て特異な方は
ぜひどうぞ。













2017年08月07日

HG JAGER 制作記 ~ 後ろ三角・小物編


先日、前三角の制作の模様を記載させて頂いたが、
今回は、後ろ三角。

前回も申し上げたが、後ろ三角の方が断然手数が多い。
特にオフロード系車体はタイヤが太く、リアバック寸法を詰めるのが普通。
タイヤやステー、クランクとの干渉に気を遣うし、曲げ加工なども多い。


今回後ろを詰め気味に、ということで、
リアーセンターの寸法を410mmとした。

極力寸法を詰めたい、との要望に可能か不可能か判断するのは、
まず製図。

(製図とチェーンステー)
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想定タイヤや、使用予定のフロントギア・クランクアームとチェーンステーとの位置関係を実寸で書いてみる。
製図してみると、リア・センターをどのくらいの寸法なら可能なのか、
どのくらいのつぶし・曲げ加工をすれば良いのか、大体わかる。

実際に加工してみると、製図通り加工できないことも多いが、それでも大体合う。
製図は必項。

製図して、これならいけるだろうという内容を確認してから、
実際の作業に入っていく。



まずは、右チェーンステーがフロントギアに干渉しないように、
つぶし加工を行う。

(つぶし加工中のチェーンステー)
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鉄板を組み合わせて作ったつぶし器、これを万力にセットしたステーにあてがい、
ぐぐっとつぶすだけ。
順にタイヤとの干渉箇所、それから左ステーにもつぶし加工を施す。



次ぎにステーのエンド側、テーパーしている細い方。
こちら側を任意の曲げ具合に曲げる。

チェーンステーのパイプの製造工程・テーパーは、
均一な径・肉厚のクロモリパイプを絞りテーパー加工して、
このテーパー形状にしている。

従って、ステーはエンド側は細くて肉厚。
曲げ器で曲げやすい。

反対にステーBB側は肉が薄くて、大径のまま。
曲げ器でそのまま曲げようとすると、
ある程度曲げたところで、、折れる。

こういう時は中に砂を詰めて、火で炙って曲げる。

(ステーの細い方を曲げ器で曲げる)
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(ステーの太い方を火で曲げる)
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ちなみにこの火曲げ、結構気を遣う。
火を入れすぎたり、ちから加減を間違えると、熱されている箇所が割れる。

肉厚が違うっていうのもあるけど、
ハンドメイドの車やバイクのマフラーなんて、
この方法ですごいアールに曲げるよね。

火を使いながら、熱くなったステーの曲げ具合を図面と照らし合わせるので、
少し方眼紙が焦げている。。
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次ぎに、つぶし・曲げ加工を施したステーにエンドを付けます。

(パラゴン製フランジ付きエンド)
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アメリカのパラゴンマシンワークスの12mmスルーエンド。ハンガーはアタッチメント式。

これ、結構なお値段。
マシニングで作っているから、当たり前だけど。

鋳物で良いから、もっと安価な物が出回れば、気楽に作れるんだが。。



エンドを付けたステーを出来上がった前三角にくっつけるために、
BBシェルの径、38mmホルソーでざぐります。

(ザグリ加工中のステー)
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マシンバイスの角度(BBシェルとの角度)は、ステーを図面にのせればわかる。
曲げ加工が入って、角度を測りづらいが、大体合う。

あと、マシンバイスはしっかりしたものでないと駄目。
ぼろぼろの物は精度がでないし、固定力も弱く、加工中にワークがはねたりする。

ちなみにこのバイスは荒川区の尾久、中古機械屋で1万円で売ってくれた。
こういう小型で角度がつけられる回転式のマシンバイスは中々見つけられないので、
良い買い物だった。

本当はこのフライスもトルクが弱いので、もっとしっかりしたものが欲しい。
場所的に今は無理だが。
しっかりした物は、2~3秒でカットできる。



カットしたチェーンステーはジグにセットする。

(ジグにセットアップされた前三角とステー)
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左右のステーの長さ合わせには気を遣う。

トラックエンドや、ストレートドロップであれば、多少の精度のずれは、
ハブ軸が収まるエンドのスロットを切削して修正すれば、
ホイールは真っ直ぐに入るが、今回はスルーアクスルエンド。

すろっとはねじ穴なので切削して調整することは出来ない。

左右のステーの長さをきっちり合わせないと、
後輪が真っ直ぐに入らなくなる。

フライスで加工した後に、ヤスリやサンダーなど手作業で
BBシェルとの接合部に微調整を行う。



(仮付けされたステーとクリアランス確認)
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ジグ上で仮付けを行ったら、
クリアランスを確認するため現物を一度装着する。

装着したタイヤは想定MAXタイヤ幅より一回り小さいサイズ。
ドロ詰まりなどを考えると、、このクリアランスで丁度良い、との判断。

確認ができたら本付け。
きっちりロウを回す。



(加工前のシートステー)
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チェーンステーがついたら、
お次はシートステー。

今回はシートステーもタイヤクリアランスの関係上、曲げ加工が必要になる。
また、左のステーにはディスクブレーキの台座が乗るので、
その位置も考慮に入れながら、曲げ具合を設定する。

(図面と曲げ加工後のステー)
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(ジグに掛けて、仮付け)
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曲げたステーは、ザグって仮付けする。
左右の高さが合うように、定盤の上でスコヤを立てて確認する。

問題なければ、本付け。


(本付けされたシートステー)
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次は、ディスクブレーキの台座の取り付け。

最近では、ロード系のディスクブレーキは
フラットマウントに流れていて、フレーム材料もそういった小物があるが、
しかし規格は次から次へ沢山出てくるね。大変だ。


(左ステーに取り付けられた台座)
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ここまでくれば、終わりは近い、、
と思うが、以外とこの後のブリッジや、小物類の取り付けって意外と時間が掛かるんです。


(ワイヤ、ホース関係の小物)
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これらを、もう休みたい気持ちに麻酔をかけて、一気に付けていきます。

通常のロードレーサーと、小物やブレーキ穴などの無いピスト。
ビルダーによっては、両方とも同じようなフレームなのに
数万円の価格差がある場合もあるが、実際にやってみて、気持ちはわかる。
数が多いとだれてくる。


(取り付けられた小物)
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あとはブリッジ類。

パイプ等を組み合わせた、構造物は
ブリッジなどの補強の有無、入れ方によって、
強度が全然変わってくる。


話はずれるけど、補強の仕方で思い出すのが、
昭和の初期から中期くらいまで活躍していた運搬車。
これらのフレームワークはすごい。
かなりアドリブ的というか、そういう風に見える。

「ここの寸法延ばしたから、弱そうだな。
よし、ここにパイプ突っ込んじゃえ!」
なんて当時の製造者の様子を勝手に想像してしまう。

ちなみに写真は膨大な昭和日本のレトロ運搬車を収集されている、
長寿自転車商会さん。

何年か前にお伺いしたときに写真を撮らせて頂いた。


(昭和のいつ頃かに製造されたであろう重運搬車)
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(シートステーのブリッジ)
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タイヤとのクリアランス、左右のバランスを確認。
そして泥よけ用のダボをブリッジに付けたので、その位置も確認。

(チェーンステーのブリッジ)
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そして、シートポストの挿入部に割を入れる。


これで、後三角の製作はほぼ終わり。

後はフロントフォークが残っているが、
製作の山場的にはこの後三角が終われば超えたも同然。
まだ途中でもあるが、達成感もある。

(シート挿入部)
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次は最後となるが、フロントフォーク編ということで。









2017年08月02日

HG JAGER 制作記 ~ 前三角編


彼には以前に、パスハンターとして1台制作させてもらった。
HGパスハンター。

フルリジッドで王滝100㎞、、
2~300kmの弾丸ツーリング、、
そしてパスハンターらしく、8時間?の担ぎを含む山岳サイクリング。。

2年ぐらいたったかな?乗り込んでもらって、
本人があーしたい、こーしたいっていうのが出てきたので。
アップデートバージョンを改めて作らせてもらう。

命名、HG JAGER。ドイツ語で狩人。
ハンターよりワイルドかつ知的だ。

文章力の無い人間が、ブログで長文になると、
散文・雑文になると思うが、
制作コンセプトから設計、実際の工程を数回に分けて、
記載してみようと思う。




(HGからもらった草案)
ALP_JAGER1_草案-001


最初に草案をもらって、
二人で何度かミーティング。

上の草案からいくつか仕様やスケルトンを変更。
以下の仕様に落ち着いた。

(主な仕様・コンセプト)
・想定タイヤサイズ・・・700 x 35c、26 x 2.3inc、24 x 2.5inc

足回りは大分、、幅がある。
舗装路の長距離から担ぎ、シングルトラックまでこなす彼独特の仕様だ。
トラクションを良くするのに24インチの太いタイヤを使いたいというのも独特。

フレームの設計は、それぞれの想定タイヤを履かせたときに、
違和感がないように設計。

・リアバックは極力詰める。

トラクションを稼ぐため、また取り回しの都合上、
リアバックは410㎜とした。
太いタイヤとフロントギア・インナー28tと割と大きいので、
製図したところ、このあたりが現実的か。
頑張れば、405mmいけるかどうか。

・ヘッド周り大径化、スルーアクスルとディスクブレーキ

以前のパスハンターはカンチブレーキ。
トラブル時を考えてあえてリムブレーキにしていたが、
やはり雪道や状況により、ディスクブレーキが安定している。
ディスクブレーキなら、スルーアクスルにしない手はない。

フロントの剛性は高いものが好みなので1 1/8~1.5インチのテーパードコラム。
クロモリ製。
初めて使うが、持ってみると意外と軽い。

・なるべく軽く
用途を考えると、あまり薄いパイプは、、というのが本音だが、
メインチューブをプレステージジャパンの軽量管を使うことにした。
トップは曲げるので一回り肉厚だが。
BBシェルも普通より薄い。

薄肉は壊れやすいが、とりあえずこれで試してみて、
すぐ壊れるようだったらパイプを差し替える。
これができるのもハンドメイドの良さ。

リアバックに使うパイプは薄いものは、
今までの使用経験上、良い印象はないので
肉厚のオーバーサイズを使う。

・担ぎのためのフレームサイズ。
草案で指定されたシートチューブ長。
BBシェルの上端からシート集合部までの距離は350mm~360mm。

長時間担ぎ、その時の疲労や、岩場などでのバランスを考えると
この長さが彼にとっては非常に重要だそうだ。

また、ホイールベースも。
長すぎると、山道で担ぎながら体を旋回させると、
木にあたったり、岩にぶつかったりする。

乗った時のポジションはもちろんのこと、
この要素もフレームサイズを考えるとき、ひとつ基準になる。
山に入る人はこのあたりも少し考えてみてはどうだろうか。

ちなみに一口に担ぎといっても、状況によっても色々あるそうだ。
林道、緩い登り、急な登り、岩場、稜線。。
担ぎ方講習なんかやったらどうだろう。

・サスペンションフォークを入れたときに、操舵感を変えない。

デフォルトはテーパードコラムのリジッドクロモリフォーク。
ただ、状況によってはFOXの100mmトラベルのサスペンションフォークを入れる予定で、
それにしたときに、ヘッド角、BB高をあまり変えたくないということで、
それを加味した、フレーム・フォーク設計とした。

操舵感自体は機構が変るのでもちろん変わると思うが、
少なくともジオメトリ上は、各々のフォークを挿したときにずれが少ないように。

(ジオメトリ)
・700 x 35c
HG_disk_jager_v5_435-001.jpg

・24 x 2.5インチ
HG_disk_jager_v5_435_24inc-001.jpg

・FOX 100㎜トラベル想定
HG_disk_jager_v5_fox100mm-001.jpg



以上を踏まえ、、
スタ~トぉ!

(使用するパイプの一部)
左からBBシェル、フォークコラム、メインパイプ類、エンド類、ヘッドチューブ、アクスル
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何をするにもまずはBBから。
水抜きを開ける。

JIS規格の68㎜幅シェル。
外径は38㎜クロモリ鋼の軽量なもの。
通常は39㎜のクロモリ鋼。1㎜小さい。

1㎜の差は大きく、肉薄のものは、
ロウ付け時の熱により、歪みやすい。

熱を入れれば大なり小なりどんなものでも歪む。
組みつけの時にリタップして、ねじ山を整えるが、
歪みが大きいものをリタップするということは、たくさん肉を削るということで。

よって、ここは融点の高い真鍮ロウではなく、融点の低い銀ロウでロウ付けする。

(BBシェル)
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BBシェルにつけるシートチューブを、フライスでザグリ。
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ロウ付けや溶接時、はんだ付けでもそうだけど、
母材に熱をいれると、すぐに表面が酸化する。

その酸化を防ぐために何らかの方法が用いられるんだけど、
ロウ付けの場合はフラックスという薬剤が使われる。

銀ロウ用のフラックスは、劇薬。
炎を充てると、すぐに気化したフラックスが目やのどを刺激する。
思わずむせ返る。


(銀ロウ)
シートチューブと銀ロウをロウ付けする。
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(ロウ付けされたBBとシートチューブ)
ちなみに、銀ロウは真鍮とは融解したときの特性が全然違う。
簡単に言うと盛れない、溶けてべしゃっと広がっていくので、
ボリューミーな接合部とはならない。カザーティみたいな。

あれはロウ付け時に2、3本の真鍮ロウ、もしくは線径の太いロウ材を一気に流し込んでいるんだろう。
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BBにシートチューブは付いた。
次はダウンチューブを付ける。



(ダウンチューブ)
タンゲ、プレステージジャパン。
肉薄の焼き入れ管だ。

プレステージは、接合部に使われる両端の肉厚が、0.7㎜。
真ん中の薄い部分は0.4mm。

オーソドックスなタンゲチャンピオングレードや、カイセイの022はこれが、0.9mmと、0.6㎜になる。

今回はプレステージの35㎜径の大径管を使う。
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製図して割り出した角度で、正確にざぐる。

溶接時、熱を入れた方向に、必ず引っ張られる。
これが正確でないと、狂いが大きくなり、矯正に苦労することもある。

逆にここにさえ、ちゃんとしていれば、自転車としての精度を出すことはそう難しくない。

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ジグにかけ、ロウ付けしていく。
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同じようにヘッドチューブもロウ付けしていく。

このヘッドチューブはヘッドパーツを変えることにより、
通常のオーバーサイズコラムから、ボトム側が1.5インチのテーパードコラムまで使用できる、便利なもの。

これがつけば、あとはトップチューブをつけると形になる。
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ところが、今回のオーダー。
担ぐときの肩にあたる部分、トップチューブのシート側、
そこを曲げてほしいとの内容。


パイプを曲げる場合、いくつか方法はあるが、
大径の場合、火で炙って曲げることになる。


(中に砂を詰めたトップチューブ)
火で炙る際、パイプがひしゃげないよう、
パイプ内部に隙間を極力無くし、砂をつめる。
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鉄板で蓋をする。
また、曲げる際に炙ったパイプは温度が上がり赤く柔らかくなる。

内部で高温になった空気が圧力を増し、柔らかくなった部分を押し上げてしまうので、
必ずガス抜きも開けておく。
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(火曲げ)
大きい火で、広い範囲を炙る。
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徐々に曲がっていく。
何度か曲がり具合を確かめます。

パイプは薄いので、力加減と火加減を間違えると割れるので、慎重に。

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目的の曲がり具合まで曲がりました。
焦げは取り除き、きれいにしておきます。
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さて、前三角最後のチューブ、トップチューブをロウ付けします。

本人の担ぎやすさを考えた、BB上端~トップチューブ下間、355mmにピタッと合わせる。
仮付け後、本付け。

(仮付け前のフレーム)
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三角の形になった。

ここでも行うが、こういった要所では必ず狂いが出ていないか、
治具上で確認していく。
狂いが出ていればその都度修正していく。

(本付け後)
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最後に、
このフレームフロントサスペンションがアセンブルされることを想定している。
ハンドルを90度以上切ったときに、フロントサスペンションの肩がダウンチューブに当たらないように、
少し上目に逃がしてある。

そのことによって、ヘッドチューブのボトム側の強度が落ちるので、
補強を入れる。


補強材は、メインパイプを切断したときに出た端材。
少し厚めの部分がいい。

それを形状に合うようマーキング、カットして成型する。

(補強に使うパイプ)
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成型はベルトサンダーなどで行う。
ピタッと合わせるのは結構難しい。

(成型された補強材をフレームにセット)
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(本付けされた補強材)
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後はロウ付けされた各所を仕上げていく。

まずは丸棒やすりで、荒目→細目→油目と番手を上げていき、
最後は布やすりで仕上げる。

この仕上げ作業は結構な手間だ。
ロウ付け時にいかに綺麗に、仕上げがしやすいようにロウを盛るかが、
時間短縮のポイント。


(仕上げ後)
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ここまでで、前三角の製作は完了した。
この後は、後ろ三角の製作に入る。

実はフレーム製作においては、後ろ三角の方が大変なこと方が多い。
溶接箇所の多さや、曲げ・つぶし加工、ブリッジや台座類。
ホイールが入る場所でもあるので、精度だしにも気を使う。

次回以降は、その模様を綴っていこうと思う。






















続きを読む "HG JAGER 制作記 ~ 前三角編"

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